猫の話

私が初めて猫を飼ったのは、小学3年生の時。小学2年生の時に父が亡くなり、帰ってきても母が仕事に行っていて家にいなかった。甘えん坊だった私はすごく寂しかったのを覚えている。

猫が欲しい。と母に言い、ペットショップに連れて行ってもらった。今でも覚えている。ペットショップの檻の中に生まれたばかりの白い綿毛の子猫。檻の下に引かれた赤い敷物の上に白い毛が映えていたのがすごく覚えている。もう絶対この子だった。即決し、連れて帰った。ペルシャ猫で血統書付き、10万円くらいしたと思う。

とても可愛かった。言うことを全然聞かない。餌の時しか甘えてこない猫だった。今思うとお金持ちの家に似合う猫だった。前足はいつもくっつけて座って、最期歩けなくなるまで、ヨタヨタした体でしんどそうなのにトイレ以外では用を足さない猫だった。上品だった。こんな家にもらわれて申し訳ない。でも愛していた。

名前はメイ。5月生まれだから。基本つれない態度なのにたまに舐めてきたりするのがたまらなかった。私が20歳くらいの時、メイの様子がおかしくなり、動物病院に行った。

ガンだと言われた。猫のガンは全て悪性だから治せないと言われた。

ショックだった。どうして今まで気づかなかった?

どうにかして助かる方法はないか、動物雑誌とかで調べて、緊急も受け付けている大きな動物病院に連れて行った。近所の病院ではもう何もできることはないと言われたが、そこの病院では手術をしてみましょうと言ってくれた。今でもこの選択が正しかったのか考える。少しでも長く生きて欲しいという飼い主のエゴ?メイはもう手術しないで静かに逝かせて欲しかった?

術後、ガリガリのメイ。退院後、家に戻った時、よたよたする体で私の背中に乗ってきたのが忘れられない。

食欲があったり、無くなったり。苦しそうになったら、病院に連れて行って注射を打ってもらっていた。家からその病院は1時間以上で電車が混んでいると辛かった。

仕事終わった後、家に戻り、メイを連れて電車に乗って病院に連れて行くのは少し大変だった。帰りの電車の中でメイが入っているケージを片手に疲れ切っている私に席を譲ってくれる人がいた。私はまだ20代前半だったのに、よほど疲れた顔をしていたのだろう。

それから数日、もう歩けなくなって、横になっているメイ。メイ!と呼んだら、様子がおかしかった。顔を近づけてメイ!メイ!何度も呼んだら前足で私の頬に触った後、痙攣してメイの瞳の瞳孔がバーッと開いて暗闇になった。瞳が真っ黒になったのだ。メイはもう動かなかった。

私が卒業後初めて働いた事務職を辞め、パン屋さんで働き初めてたまたま次の日から三連休という日にメイは死んだ。とても次の日仕事に行ける状況じゃなかったので休みでよかったと思う。

自分の寿命がなくなってもいいからメイを助けてください。本当に祈った。

愛ってなんだろう。見返りを求めない無性の情?

人と人の間で全く見返りを求めない間柄ってあるのだろうか。

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