働くということ

仕事

私が通っていた高校は商業高校だったので、生徒の9割くらいは卒業後は就職をした。今から19年前、求人票に目を通し、希望の会社名を記入して提出し、希望者多数の会社は、成績が良い人から選ばれていて会社に面接に行く。制服で面接に行くが、スカートを短く切ってしまった子は友達から借りたりしたのだろうか。セーラー服だったのだが、私はセーラー服が好きではない。寸足らずでツンツルテンの上半身、意味不明な結いにくいスカーフ、夏暑く、冬寒い構造。水兵さんには申し訳ないが、セーラー服を制服にするのは間違っていると個人的には思う。

1社目は、ネズミとかの害虫駆除会社の事務の面接に行った。面接で、『整理整頓は得意ですか?』と聞かれて『正直、あまり得意ではありません。』とハニカミながら答えたら、案の定落ちた。だけど私は思う。面接なんて皆、嘘偽りの姿なのだから、質問は無意味だ。『はい!得意です!整頓されていないと気になってしまうタイプですっ!』とか言えばよかったのか?

2社目は、ゴミ袋やプラスチックトレーを製造する会社の事務の面接に行った。たいしたことは聞かれず、私の履歴書を見て、面接官が『資格を沢山取っているんですね〜。取るのは大変でしたか?』と聞かれ、『はい!でも頑張りました!』と言ったのを覚えている。小学生のような回答だが、受かった。資格と言っても、しょぼいものばかりで、今では何の効力もないものだ。商業高校だったので、定期的にみんなで受けましょうみたいなノリで、取った資格だ。珠算検定とか、今考えると、ソロバンって。ソロバンを高校でやるってなんだよ。ソロバン協会の人ごめんなさいだけど。暗算力が鍛えられるのかもしれないけれど。

入社した会社では、取引先からFAXや電話で注文を受け、自社工場へ発注のFAXをするのが私の主な仕事だった。なんてアナログなんだと思うが、19年前の私が入社した会社はデータで発注するシステムがなかったし、自分のパソコンもなかった。後で請求書を作成するためにデータを打ち込むパソコンが2台だけあっただけだった。事務は私ともう一人、同じく高卒で入社した同期の女の子がいて、他はみんな営業の男の人だった。本社が愛媛で事務の私たち二人以外は全員愛媛出身の人だった。課長はいつも営業の人に怒鳴っていて、課長がいるとその周りの空気が澱んでいた。特に私の隣の席の三人の子持ちの営業の男の人は課長にビビっていて、課長に名前を呼ばれる度にビクッとし、声も手も震えていた。

ある日、課長がその営業の人に『おい!あの○○(取引先)の件、終わったんか!!!』と怒鳴った。常に怒鳴り口調で、私に対して怒鳴っている訳ではないが、近くで聞いてる私もすごくストレスが溜まっていた。いつも通りにビクッとなる隣の人。しどろもどろになっている様子を見て、たまらず『終わりました!』私が返事してしまった。『お前に聞いてるんじゃない!〇〇(隣の営業の人)に聞いてるんや!!』そしたら、震えながら『まだやっていません・・・。』と営業の人。やってなかったのかよ。終わりましたって言っちゃったよ。後からその営業の人に『おもち(私)、さっきはすまんかったなぁ。』と言われた。私は、もう怒鳴りを聞いている毎日に嫌気がさしていた。

課長は社内で不倫して異動になった経歴もあり、女好きだった。私や同期の子の肩を揉んできたり、物凄い近距離で話しかけてきたり、本当に気持ち悪かった。私は全く色気はないのだが、まだ高校卒業したてのピチピチ18歳だったので、女としてカウントされ、課長の怒鳴りの対象にはなっていなかった。しかし、私が勝手に『終わりました!』と言ったときから、なんとなく素っ気ない態度になり、セクハラされなくなったのは良かったのだが、明らかに冷たい態度になった。課長にみんながビビっている空気にストレスが溜まり、円形脱毛症が3つ出来たので、辞めることにした。あの課長の態度、言動、今ならパワハラで訴えられるだろう。課長が、通勤途中の道端で心筋梗塞で倒れたと電話がきた時には、私はヨッシャー!と心でガッツポーズした。悪いがずっと入院して戻ってこないでくれと願った。しかし課長は一週間ほどで退院し、元気に復活した。ヒゲが濃くて剃りあとが青くてボツボツしていてカバのような課長だった。私はいつも、カバのくせにうるせぇと思っていた。

会社を辞めた後、フリーターしたり、正社員として再就職してみたり・・今は契約社員として事務職で働いている。どこで働いてもしっくりこない。今の仕事は12年働いているが、これっぽっちも愛社精神は無いし、熱意も無い。

好きを仕事にできる人も一握り。その人も仕事にしたことで、辛いことだってあるだろう。仕事だから楽しくなくて当たり前?楽しい仕事なんてない?辛いから仕事?限りある人生の時間を犠牲にすることでお金を得る、ということなのか。人々はどう折り合いをつけて仕事をしているのだろう。

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