オジサンとは友達になれないのだろうか

自分はもう38歳で立派なオバサンなのだが、昔からオジサンとは気が合った。というか、自分が勝手に相手がオジサンだと気兼ねなく話をすることが出来ただけで、気が合うというのは自分の思い上がりなのかもしれないけれど。

四年くらい前に、今の会社で自分の業務を58歳のオジサンに引き継ぐことになった。そのオジサンは長年出版社に勤めていて、定年前に早期退職し、契約社員として今の会社に入ったらしい。もう家のローンも払い終わり、子供も結婚して家を出て、妻と二人で暮らしているそうだ。

そのオジサンは専門知識も完璧で、私が教えることなんてほとんどなかった。なのにすごく低姿勢で全く偉ぶらない。こんなオジサンいるんだなぁ、と思った。三ヶ月くらいして引き継ぎが終わった時に、お礼をしたいから飲みに行こうと誘われ、サシで飲むことになった。親子ほど歳が離れているし、そのオジサンは奥さんとの仲良しエピソードをよく聞いていたので、二人きりで飲みに行くことに何の抵抗もなかった。飲みに行ったら、予想通り全く気を使わないで楽しかった。それから、そのオジサンとたまに飲みに行くようになって、私は飲み友達ができたようで嬉しく思っていた。

オジサンのその一言を聞くまでは・・・。

ある日またそのオジサンと飲みに行った帰り道、喋りながら駅に向かって一緒に歩いていた時、オジサンが『こんな若い子と飲みに行けるなんて嬉しいな〜』と言ったのだ。

私はショックだった。

オジサンは、『私』ではなく『若い子』と飲むのが嬉しいってこと？？？いや、実際私は若くないんだけどね。アラフォーだし。

オジサンは何の気なしに言ったのだと思う。でも私はその一言でサーっと引いてしまったのだ。私はオジサンと友達になれた気がしていたから。オジサンとガハハ笑って楽しい時間を過ごしたと思ったのに、飲みに行きたいのは『若い子』だからなの？（若くないけどさ）『私』だから飲みに行きたいって思ってくれていなかったの？とか色々考えてしまった。

でも今振り返ってみたら、そんな気にする一言じゃなかった気もしてきた。私＝若い子、ということで私と飲みに行けるなんて嬉しいって思ってくれたってことでいいのかもしれない。よくわからなくなってきた。

オジサンといえば、昔、会社の忘年会で他の部の部長のオジサンと話が盛り上がり、「お前面白いから、こっちの部の飲み会こいよ」と誘われ、他の部の飲み会に参加することになった。あまり覚えていないのだが私は少しその部長に無礼なことをしていたらしい。私は楽しく飲んだつもりだった。だがその部長はもう飲み会に私を誘わなくなった。楽しかったから、他の部の部長だしってことで私も調子に乗り過ぎたのかもしれない。せっかく仲良くなれたと思ったのに悲しかったのを覚えている。

やっぱり年上は敬わなきゃいけないのだろうか。そこには線引きがなきゃいけないのだろうか。

オジサンは飲み代を奢ってくれるけど、私は友達になりたいから本当はワリカンにしたい。本当はタメ口で喋りたい。

私の感覚がずれているのだろうか。

年の離れたオジサンとは友達にはなれないのだろうか。